"Information B-Free"
2006年6月9日 情報バリアフリー論
- ユニバーサルデザインと共用品【復習】
- 支援技術とは
- 障害のある人を取り巻くテクノロジーに関連する言葉として,「リハビリテーション工学」,「アシスティブテクノロジー」,「支援技術」,「支援工学」,「福祉工学」,「福祉技術」など多くの言葉が使われています。これについて,リハビリテーション領域に対する工学・技術からの支援は当初,リハビリテーション工学(Rehabilitation Engineering)と総称されていましたが,福祉用具を必要とする人は,高齢者などリハビリテーションの流れに含まれない人も含まれるので,より広い概念としてアシスティブテクノロジー(Assistive Technology)と称されるようになってきています。
- 支援技術研究から生まれた機器を指す言葉も,「リハビリテーション機器」,「福祉用具(機器)」,「テクノエイド(テクニカルエイド)」,「介護用品(機器)」,「支援技術機器」と様々です。「リハビリテーション機器」や「介護用品(機器)」は,それぞれ,リハビリテーションや介護といった狭い範囲で用いられることが多く,包括的には「福祉用具(機器)」という用語が一般的です。
- 支援技術機器とは,買ってきたかそこにあったものか,手直しされたか,個人に合わせて作られたかに関わらず,障害のある人の機能を増大,維持,または改善するために使われるあらゆる装置,装置の部分,システムを指します。支援技術サービスとは,障害のある人が支援技術装置を選ぶ,手に入れる,使用することを直接助けるあらゆるサービスを指します。
- 支援技術の歴史
- アメリカでは第二次世界大戦やベトナム戦争の後,多くの傷痍軍人が帰国しました。彼らのために,義手・義足・車いすなどの研究が各地で進められてきました。その一方,人類を月へ送るアポロ計画がその目的を果たしたことで終焉を迎え,アメリカ航空宇宙局(NASA)から多くの優秀な人材(技術者)が社会に輩出されました。その技術者の再就職先の一つとして,大学や病院に併設されたリハビリテーション工学センターがありました。そこでは,義手・義足,車いすにとどまらず,障害者の生活を支援するための機器にも目が向けられました。また,イギリスでは1960年代初頭に世界初の環境制御装置が開発されました。
- 日本でも1970年代に,義手・義足・装具などの研究開発を目的とした研究所や病院に併設された研究部門が設けられ始めました。
1977年,米国商務省主催リハビリテーションUSAが東京で開催され,米国における最新の福祉機器が展示されました。そのまま日本に残され,評価を受けたいくつかの福祉機器のうち,環境制御装置は生活習慣や言語の違いから,そのまま利用するには困難な点が多く見受けられました。そこで,評価を担当したリハビリテーションエンジニアの有志が集まり,1979年に環境制御装置研究開発連絡協議会が発足しました。そして,1984年にはこの協議会仕様の環境制御装置が製品化しました。
- その後,この協議会でのディスカッションが基礎となり,1986年に日本リハビリテーション工学協会が設立されました。この協会では障害者や高齢者のテクノロジー利用に関する様々なテーマ(障害者の住居,移動・移乗機器,姿勢保持装置,環境制御装置・コミュニケーション機器,スポーツ・レクリエーション,排泄,その他)に関して,リハビリテーションエンジニアのみならず,理学療法士,作業療法士,ソーシャルワーカ,医師,教師,行政担当者,そして障害者・家族などが参加しています。
戻る