講演・セッション・企画

基調講演
7月1日(金)14:30~15:30 上田市サントミューゼ(大ホール)
●テーマ:「ないない尽くし」からの出発
      ―「人心の華」としてのふるさとづくり― 
「ふるさと創生とデザイン」が私に与えられたテーマでした。このテーマを表題のように言い換え、持論を紹介させていただきます。
この国では、1988年から89年にかけて、全国の各市町村に1億円が交付され、「ふるさと創生事業」が展開されました。それに伴い、地域活性化、地域振興、地方創生など、さまざまな概念が飛び交いました。ほぼ同時期の1987年7月に読売新聞より原稿を依頼された私は、同紙・論点に、1981年から奥会津三島町の方々と取り組んでいる「生活工芸村づくり」の概要とそれを支える三つの理念を紹介しました。それは、今でも変わらない、私の「ふるさと創生とデザイン」です。
①「地域とは歴史であり個性である」。いずれの地域も、先人たちが築きあげ継承してきた固有の歴史・生活文化をもっている。私たち一人ひとりに「人格」が認められ侵害されぬよう保護されているように、いずれの地域も、何人によっても、どんな手段によっても傷つけ揶揄することの許されない、いわば「地域格」とも呼べるものを有している。それは、それぞれの地域に固有な「地域の個性」である。
②「出発点は地域の華の再確認にある」。何もないところなどないはずなのに、地域の人びとは「ここは何もない」という。この観念を打破するため、地域の人びとが共同し、五感を総動員して、「地域の生活文化サーベイ」を行うことが肝要である。
③「地域づくりは内向きな普段着の発想で」。地域づくりは外の人のためにあるのではないのに、地域の人びとは「何をしたら来訪者に喜んでもらえるか」と考える。地域づくりは、外の人の趣向や志向にあわせるかたちで、地域が自らの様態を変貌させていくことではない。
 「地域づくり」「ふるさと創生」は、まさに、「自らの生活を、
自らの手で、いかに豊かなものにしていくことができるか」を地域の
人びとが思考し、一人ひとりがその実現に向けて不断の実践を行う
ことから生まれる。おそらく、上の三つの理念は普遍であろう。そし
て、「デザインとは人心の華」である。
講師:宮崎 清
現在:千葉大学名誉教授
   アジアデザイン文化学会総会長
   うらやす市民大学学長
   東京理科大学大学院客員教授

経歴:国立大学法人千葉大学理事・副学長
   国立大学法人千葉大学地域観光創造センター長
   放送大学学園特任教授
   千葉学習センター所長
   などを歴任
 
特別講演
7月1日(金)15:40~16:40 上田市サントミューゼ(大ホール)
●テーマ:「面白い人たちにあったよ」
     ー人間の本性を見つめるから笑劇になるー
植木等の付人を経て日本テレビ系列の「シャボン玉ホリデー」でデビュー。1960年代 クレージーキャッツとの共演など、テレビ歌謡バラエティ全盛時で活躍。1970年代 軽演劇出身の伊東四朗との掛け合いによるコント系バラエティを中心とした笑い、1980年代 タモリや団しん也、イッセー尾形など、ピン芸人達との交流でつちかったサブカルチャーの要素が入った、一風洒落た感じの笑いでお茶の間を賑わせた。1990年代以降は、数多くのドラマや映画に出演し俳優としての才能も発揮。2011年6月20日、社団法人日本喜劇人協会10代目新会長に選出され、74歳を迎えた今、日本を代表する喜劇人として舞台に出演し全国各地の劇場で活躍を続けている。



                講師:小松政夫(こまつ まさお)
                現、タレント、俳優、声優社団
                法人日本喜劇人協会会長(第10代)

          
              

特別講演
7月1日(金)16:50~17:50 上田市サントミューゼ(大ホール)
●テーマ:「つながる/つなげる」
2001年9月11日より「繋げる事」をテーマに紋様の制作を始め、美術、建築、デザインの境界領域で活動を続ける。単純な幾何学原理に基づいて定規やコンパスで再現可能な紋と紋様の制作や、同様の原理を応用した立体物の設計/制作も行なっている。また、地域とデザインとの”つながり”を過去の作品を振り返りながらお話ししたいと思います。

              講師: 野老 朝雄 (ところ あさお)
              現、アーティスト
              ■ 主な展覧会
              「MOTアニュアル2010:装飾」展
              (東京都現代美術館/東京)
              「オープン・スペース 」(ICC/東京)
              「マテリアライジング展Ⅱ」
              (東京藝術大学美術館陳列館/東京)
              「個と群 野老朝雄×青森市所蔵作品展
              (国際芸術センター青森/青森)


■ 主な作品
2007年 FRP/F town ファサードパターン
     建築設計:Atelier Hitoshi Abe(仙台/宮城)
2012年 工学院大学125周年記念総合教育棟、ファサードパターン
     +サイン計画、建築設計:千葉学建築計画事務所
    (八王子/東京)
2015年 BAOBAO TOKOLO PATTERN /BAOBAO ISSEY MIYAKE INC(バッグ)
2015年 大名古屋ビルヂング下層部ファサードガラスパターン
     建築設計:三菱地所設計(名古屋/愛知)
2016年 2020年東京五輪・パラリンピックエンブレム デザイン採用
エクスカーション
Aコース:大河ドラマで話題!! 真田丸ごと巡りツアー

今話題の大河ドラマでお馴染みの地をめぐる半日バスツアーです。
上田市内の真田氏ゆかりの地は、真田一族発祥の地である「真田郷」と現在の上田市中心部に位置する「上田城下」の2地区に分かれています。今回のツアーでは、短時間ながら2つの地区のハイライトをお楽しみいただけます。
ドラマロケ地やゆかりの品を展示する資料館で歴史に思いをはせ、昼食では長野県を代表するグルメ「信州そば」をご堪能ください。

日時:7月1日(金)10:00~14:00頃
参加料金: 3,000円(税込) ※交通費・昼食代・真田氏歴史館入館料込
定員: 先着30名

行程: 
上田駅温泉口集合⇒真田氏本城跡(『真田丸』ロケ地)⇒真田氏歴史館⇒ホテル祥園(昼食)…上田城跡公園
                       ⇒ バス移動 … 徒歩移動

催行:(株)齊藤ホテル・バーデンツアーズ 長野県知事登録旅行業 第2-515号
写真提供:上田市マルチメディア情報センター


Bコース:観光列車「ろくもん」に乗って、軽井沢駅特設ビアガーデンへ

2014年7月より運行を開始した、しなの鉄道の観光列車「ろくもん」。真田幸村の鎧「赤備え」をイメージした赤いボディと長野県産の木材をふんだんに取り入れたラウンジ風の内装が魅力となっています。
今回はこの列車を貸切り、上田-軽井沢間を特別運行します。軽井沢駅では、このエキスカーション専用の特設ビアガーデンをご用意しました。高原の夜風に吹かれながらビールで乾杯しましょう。

日時:7月1日(金)18:30~21:40頃
 ※当日の運行状況により、列車の発着時刻が前後する場合があります。
参加料金: 6,000円(税込) ※交通費・飲食代込
定員: 先着70名

オーガナイズドセッション
● 7月2日(土)16:30 ~18:00 
A:農業デザインのすゝめ 「代表:松岡 由幸
■ 禹 在勇、、熊谷 晃、長谷川 正之、小相澤 隆幸、柿嶌 洋一
世界人口が70 億人を突破し、2050 年には90 億人に達するといわれている。これに伴い、世界的な食料危機は必至であろう。では、デザインは、今、何をなすべきか?他方、国内に目を向けると、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)への参加に伴う日本の農業の新たな在り方も問われている。6 次産業化の新構想に向けた議論も急ぐ必要がある。これらの文脈のなか、いまこそ、農業にデザインの力が不可欠であろう。長野大学では、これまで地域連携のもと、農業デザインに取り組んできた。それは、単に農作物や食料品のデザインにとどまらず、農村やその地域における福祉の在り方までを視野に入れてきた。
 本オーガナイズドセッションでは、それらの活動の紹介に加え、政策面の論考をまじえて今後の農業デザインの在り方、その未来観について考察する。
 なお、本セッションは、学会における今後の農業デザイン研究のさきがけである、これにより、食品デザイン、グラフィックデザイン、サービスデザインなどの関係者を含む新たな学会員の参画も視野に入れ、今後の農業デザイン研究の活性化のトリガーになることを期待する。
 
B :デザイン保護法制の現状と課題 「代表:麻生 典」
■ Christoph Rademacher、Carapeto Roberto、末宗 達行、五味 飛鳥
現在、デザインが多様化しており、従来からの車、家電、家具等の工業デザインから、デジタル技術の発展と共に生まれた画面デザインやアプリデザインまで、幅広く創作が行われています。
 ここで、我が国においては意匠法、著作権法などによってデザインの保護を図っています。しかし、これらの法的保護がデザイン創作の実態に即しているのかは明らかではありません。例えば、現在の保護法制はデザイン創作者が望む保護と一致しているかは明らかではなく、東京オリンピックのエンブレム問題のように、著作権がデザイン創作者の創作の足かせになるのではないかという懸念も生じています。そして、デザインの保護法制は各国で同一ではなく、意匠制度についても各国で相違がみられ、その統一についてのあり方も問題となっています。
 以上のように、デザイン保護法制のあり方については、デザインの創作実態とその法的保護との調和、および各国のデザインの保護法制の課題を踏まえた国際的なデザイン保護法制のあり方、という2つの大きな課題が存在しています。
 そこで、各国法の概要について研究者が報告し、フロアにいる創作者からの現行法制の問題などへの投げかけをしていただきたいと考えています。これにより、デザインの保護について、法学者と創作者双方からの検討が行え、デザイン保護のあり方に大きく貢献できるものと考えています。



● 7月3日(日)14:50 ~16:20
C :日本デザイン団体協議会(D8)が考える
  ジャパン・デザインミュージアム構想     「代表:浅香 嵩」
■ 天野 幾雄、洪 恒夫
 現在、国内には本格的なデザインミュージアムは存在せず、我が国のデザインにたいする保存及び研究は欧米諸国に比べ立ち遅れていると言わざるをえない。そこで国内デザイン8団体で構成する「日本デザイン団体協議会」(D8)は、2006年ジャパン・デザインミュージアム(JDM)構想を立ち上げた。また、2007年にはシンポ
ジウム「日本のデザインミュージアムを考える」(日本デザイン学会ほか後援)を開催し、日本学術振興会とともに世界各国のデザインミュージアムについて事例研究等を進めてきた。(デザインミュージアムカフェ等開催)
 この研究成果により新たなミュージアムの事業化プロセスを策定し、2015年には8団体によるデザイン年表のたたき台(途中経過)をつくり上げることが出来た。そして、現在有識者による評価・検討のステージを迎えている。D8が考えるデザインミュージアムの役割には、デザインに関する調査・研究はもとより、ワークショップやセミナー開催の場として、デザインの普及・啓発が重要な機能としてあり、それはデザインの教育に繋がる。それ故に、デザインを職能とする団体協議会であるD8はこの基本的なコンセプトの実現のために、デザイン学会に集まる多くの研究者等との協働が必要であると考えている。戦後デザイン史の中で創出された多くの作品、製品そして施設等に、その背景にある社会事象、技術やデザイン理論等を関連付けることにより、新たなデザインミュージアムの構築に繋げたい。


D :「真田丸」ゆかりの古城のデジタルアーカイブ 「代表:田中 法博」
■ 牧野 和人、和根崎 剛、三東 丈洋、井戸 芳之、櫻井 千寛
 NHK大河ドラマ「真田丸」の放映により真田氏の歴史に注目を集めているが、その舞台となった古城が複数存在する。長野県の古城はいずれも歴史的に重要な文化財であるが、現在では、建造物の多くが消失しており、城跡としてしか残っておらず当時の完全な姿を見ることができない。そういった中で長野県内では、上田城と小諸城を3DCGで復元し、当時の姿を復元して城内を自由に歩き回れるシステムを開発している。特に上田市では地域文化財のデジタルアーカイブを地方創生の中で重要な位置づけととらえている。これらの取り組みは地域デザインと情報デザインを融合させる本学会にとって極めて重要なテーマとなっている。
 本オーガナイズドセッションでは、それらの活動の紹介に加え、古城のCG復元の話題から大学や自治体が地域デザインと情報デザインを融合させた新たなデザイン研究に活かしていく方法を議論する。その上で、今後の地域デザインと情報デザインの在り方、その未来観について考察する。
 なお、本セッションは、学会における今後の情報デザイン研究のさきがけである。これにより、地域デザイン、情報デザインなどの関係者を含む新たな学会員の参画も視野に入れ、今後の情報デザイン研究の活性化のトリガーになることを期待する。